高齢者のランニングって体に良いの?メリットを徹底解説!

いつまでも若く健康でいたい……。そう願っても、若い頃のままの体力を維持することは難しいもの。でも日常的に運動することで、若さを保ち、元気に張りのある毎日を送ることは可能です。

ランニングは気軽にできて、お金がかからず、モチベーションが保てる運動です。始めるのに遅すぎることはありません。ケガをせず、楽しくランニングを続ける秘訣を、ランナーであり、カイロプラクターである後藤敏雄さんに解説してもらいます。

ランニングはこれに効く

ストレスの解消、健康の増進、ダイエットなど、人が「走る」理由はさまざまです。ランニングにはどんな効用があるのでしょう。

有酸素運動のメリット

有酸素運動とは、日常生活より酸素を多く取り込みながら、身体に蓄えられている糖質や脂肪をエネルギーに換えて動き続けることを指します。 50歳を超えて多くの人が感じている、運動不足、肥満や糖尿病、高血圧といった症状に対して、ランニングやウォーキングといった有酸素運動は、歩行能力を回復させ、脂肪の燃焼を促進し、血圧の安定や精神面の落ち着きといった効果をもたらします。

また有酸素運動を続けることで、生活習慣病の予防、筋肉や骨量増大からの体力増進、脂肪燃焼による体重の減量、代謝機能の向上などによる免疫力の向上が考えられます。

ランニングブームの要因

1年に1回以上ランニングを行ったことがある人は1000万人を越え、空前のランニングブームが続いています。東京マラソンのようなビッグイベントが人気に拍車をかけているのは疑いようのない事実ですが、ブームを支えてきた揺るがない要因が3つあります。

まず「時間や場所を選ばない」という点でしょう。ランニングは昼夜問わず取り組むことができ、団体スポーツと違って、いつでもどこでも自分のリズムでできるという手軽さがあります。

次に「コストがかからない」こと。走るために必要な基本アイテムはウェアとシューズ、時計くらいなもので、練習するたびに破損したり、新調することはありません。

そしてもうひとつが「自己成長を感じる」という点です。私のランニングクラブでも、はじめは1kmしか走れなかった人が、1年間地道に続けたことで30kmも走れるようになったこともありました。継続することで成果や達成感を得やすいのも、幅広い世代がランニングブームを支える大きな理由になっています。

ランニングがもたらす身体的、心理的変化

有酸素運動としてのランニングは体中の毛細血管を増やし、隅々まで血液を行き届かせてくれます。血液に乗った酸素が全身に運ばれることで身体の疲労は回復し、疲れにくい体質をつくります。継続することで筋肉量が増大し、動くためのエネルギーとして脂肪を積極的に使うようになり、中性脂肪の低下やコレステロールを改善させてくれるのです。

ランニングが心理面に与える影響としては「あるときからとても気分がよくなり、このままずっと走り続けたくなる」という声や、「もやもやしていた気持ちがスッキリ晴れて、悩みごとが解決した」という感想もいただくことがあります。鎮痛効果の高いβエンドルフィンが脳内に分泌されることで高揚感を得たり、前頭葉が活性することで悩みごとが解決したりと、心理面でもプラスの効果が期待できます。

50歳以上のランナーの特徴として、健康状態を常に高く保ち、チャレンジ精神を忘れず、社会貢献や奉仕活動に熱心な姿勢が見られます。ランニングはまさにQOL(Quality of Life)向上の一翼を担っているのです。

自分にあった運動量を

「走る気は満々、でもホントに走っても大丈夫だろうか……」。気力はあっても、体力には不安がある世代が、ランニングの際に気を付けるべきことは何でしょう?

今の自分の体力はどれくらい?

いつまでも若い気持ちでいることは大切ですが、誰でも若いままの身体でいられるわけではありません。年齢と共に筋力が衰えたり、柔軟性がなくなったりするのは自然の摂理。その結果として、骨格がゆがんだり、関節が衰えたりしてきます。

関節を動かす運動には、骨と筋肉をつなぐ「腱」、骨と骨の間にある「関節軟骨」も欠かせない器官ですが、これらも加齢によって水分量が少なくなり、コラーゲンなど弾力性に欠かせない主成分が徐々に失われて傷つきやすくもなります。

とはいえ60代以上の方を対象としたあるトレーニングの研究では、筋肉量が増え、筋力が増したという報告もあります。適度な運動を続けることで、右肩下がりの身体機能を、逆向きにすることは可能なのです。

自分に合った運動量を考える

自身の体力や筋力を過信して、適度な運動量を越えてオーバーワークになると、障害(ケガ)を引き起こす可能性が高まります。40歳代以降の世代に多くみられるのが走りすぎによる筋肉や腱の炎症です。ふくらはぎの肉離れ、ふくらはぎと繋がるアキレス腱や足の裏の腱の痛みなどが頻発するようになります。

さらに上の世代では加齢による骨や関節に問題が起きやすく、膝や腰、足首の痛みが起こるようになります。いずれにしても、原因はランニングで自身の筋力を越えるような負荷を身体にかけてしまったためです。

筋肉は急につくわけではありません。あせらずに徐々に増やしていくことが必要です。また鍛えるだけでなく、ストレッチなど積極的に行い、疲れを取り除く意識を持ちましょう。それがケガ予防の基本になります。

ランニングがもたらす好循環

筋力が増えるからといって50歳を過ぎてから競技者を目指す人はごく稀。目指すのは健康になること。ランニングが身体にもたらす変化として、特筆すべきことのひとつに毛細血管が増えることが挙げられます。

毛細血管が増えると身体から遠い部位の末端まで血管が伸びることになります。すると筋肉への血流が増えて老廃物を除去し、細胞に酸素と栄養を与えることができるようになるのです。血流が増え筋肉が活性すると、糖や脂肪の代謝が起こりやすくなり、体内の中性脂肪が低下し、余分なコレステロールを肝臓に運んで処分してくれます。

糖や脂肪の代謝が改善されることで内臓機能が改善され、動脈硬化などの予防効果が高まります。またランニングにより副交感神経が刺激されることで、心臓に関わる血管機能にも影響を及ぼします。日常の心拍数が落ち着き、心臓が1回の収縮で身体に送り出す血液の量が増加することで心機能が改善され心肺機能も向上するのです。

適度な負荷を身体にかけることでもたらされるランニングの効果は素晴らしいもの。ケガをしないで続けることがとても大切なのです。